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2008.3.30



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技あり
自然気化式加湿器
手のひら大で乾燥防止

写真
自然気化式加湿器。手前が携帯用の「ちょこっとオアシス」=伊ケ崎忍撮影

 花粉症やドライアイに悩む人には部屋の乾燥が気になる。でも、電気式の加湿器を職場や出張先のホテルに持ち込むのは難しい。そんな悩みに応えるのが、自然気化式の携帯型加湿器「ちょこっとオアシス」。自動車部品メーカーのミクニ(東京都千代田区)が開発した。

■電源いらず

 手のひらサイズの樹脂製容器を開くと、折りたたまれた不織布が花びらのように広がる。注いだ水が、毛細管現象で布に吸い上げられ、自然に蒸発する。電源は不要で音もしない。コップに水を入れて放置した場合の5倍の加湿効果を実現した。

 開発の契機は、ライフテック事業部の井上敏明次長の苦い思い出だ。バスやトラックの空調用ヒーターを担当していた井上さんは、冬場になると出張が続き、週の半分以上をビジネスホテルで過ごした。暖房が利いた部屋は乾燥してのどが痛む。ぬれたタオルを室内に掛けたり、浴槽にお湯を張ったりした。

 「タオルを干した部屋で寝るのはわびしい。浴槽の湯気で火災報知機が作動し、あわてたこともあった」

 ミクニは、業務用エアコン用に不織布を組み込んだ自然気化式加湿器を手がけていた。03年春、「この不織布を使って、持ち歩ける手のひらサイズの加湿器を作れないか」と井上さんは思いついた。業務用加湿器で積み重ねた技術が生かせるはず。効率よく気化させるには、周囲にこもる湿気の高い空気が、流れやすくすればよい。流れる空気が渦となって動けば、毛細管現象もいっそう促される。

■外形を重視

 約1年かけ、最適な不織布の形や折りたたみ方などを工夫し、15種以上試作した。最も効率性や携帯性が高かったのは、1枚の不織布を扇子のように折り曲げて表面積と輪郭の総延長を確保したものだった。折り目部分に切れ目を入れ、空気の渦ができやすくした。だが、形がどうも武骨で素っ気ない。身近な場所で使ってもらうには、デザインが重要だ。そこで「飛び出す絵本」がヒントになった。

 紙アートデザイナーの吉田美幸さんの協力をえて、不織布が花びらのように交互に立ち上がり、空気の通りやすさと美しさを兼ね備えた形に仕上げた。同社の実験では、湿度24%、気温26度の部屋で、製品の周囲1メートルで約10%、周囲2メートルで4〜5%湿度を上げる効果があった。

 04年秋の発売から22万個が売れた。昨秋、楽器販売会社と共同開発でコップの15倍の気化能力がある大型の家庭用据え置き型「ミスティガーデン」も発売、3万個を超えるヒット作となっている。

〈メモ〉 「ちょこっとオアシス」の希望小売価格は税込み1239円、「ミスティガーデン」は同3150円。不織布の耐用期間は4〜5カ月で、交換用は、それぞれ756円と1785円。各地の東急ハンズやロフトで買える。

〈ひとこと〉 大きな部屋全体を加湿するには向かないが、職場の机やホテルのベッド脇に置けば、周囲の乾燥防止に役立ちそうだ。植物を思わせるデザインにも心が和む。(林義則)



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